お知らせ

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【営業技術】ロボットSIer 営業について紹介します

2021.02.12

ロボットシステムインテグレータの営業はBtoBの営業ですが、既に姿、形が決まったものを販売するわけではなく、打ち合わせを繰り返し、満足のいく仕様、能力、機能、価格を提案して安心し、任せらるという信頼を顧客から得ることが大事なミッションとなります。

つまり企業の顔となり受注を獲得し、自社の売上、利益を左右させる大事な役目なのです!

姿、形のないものを販売するということでよく似た業種で「ハウスメーカ」や「工務店」の営業があります。
ご存じのように、ハウスメーカの営業は、顧客と出会い、そこで顧客に自社の紹介や扱っている住宅の説明などを行います。顧客の希望・要望やニーズなどを聞き出し、次回の提案に繋げます。一度の提案で契約が決まることはほとんどないです。住宅ローンを含め、かなり大きな金額が動くため顧客も契約にはより慎重になります。顧客の話を聞いて何度も提案を繰り返していくこととなるのです。

これをロボットシステムインテグレータに置き換えてみましょう。
顧客と出会い自社の紹介をし、過去の実績や得意技術領域を説明します。顧客の希望・要望つまり能力、機能、装置スペースなどの要望事項、ニーズを聞きだし提案をします。当然一度の提案では契約は決まることがなく、更に打ち合わせを繰り返し、受注までのプロセスを踏んでいきます。

以上のように、「住宅」と「ロボット装置」は個人で購入するか企業が購入するかの違いはあるものの、購入する際の考え方は同じで一生に一度の買い物であるという気持ちで、商談に望んでいるということを踏まえて対応する必要があります。

引き合いから受注、検収までの流れ

ここでは、引き合い(商談)開始から受注、検収までの一般的なケースの流れを説明します。

引き合いから受注までは、案件のボリューム感、難易度で期間は左右されますが、一般的には約2〜3ヶ月、長い案件では6ヶ月の期間を要する場合もあります。

その間に営業では、他社競合情報、顧客予算感、顧客決裁者(キーマン)などの情報収集に努め、自社が有利に受注できる情報を聞き出すこととなります。

また、必ず現地視察を行って現状の作業状況を把握することも大事ですので、必ず現地視察を実施し、商談を進めていくべきです。

コスト積算、見積りの仕方

見込み製造原価+利益ということが一般的な見積り金額となります。

ここでは、引き合い開始からロボット装置を製作し、検収が上がるまでに係る技術作業項目、外注費について説明します。

よく、「この装置を1千万円でやってくれませんか?」という顧客から依頼の話を聞きますが、金額、受注が先行し、見込み原価の試算がどんぶり勘定になり、結果的に採算性悪化に陥るケースが多々あるので、しっかり見込み製造原価の試算は行うべきです。

技術費(工数)の見込み原価

受注前
①お客様の要望(仕様)を確認する為の打ち合わせの見込み工数
②構想検討、見積仕様書作成の見込み工数

機械設計
①システムレイアウト図作成の見込み工数
②各装置の組立図、部品図面作成の見込み工数
③エアー回路図作成の見込み工数

電気設計
①制御盤、操作盤の図面作成の見込み工数
②電気回路図面作成の見込み工数
③ケーブル図面作成の見込み工数

PLCソフト設計
①プログラム作成の見込み工数
②タッチパネルの画面作成の見込み工数
③上位通信、外部装置との通信プログラム作成の見込み工数
④生産情報管理、エラーログに関する見込み工数
⑤駆動機器のパラメータ、プログラム作成の見込み工数

ロボットプログラム
①ロボットプログラム作成の見込み工数
②ロボットティーチング作業の見込み工数
③ビジョンカメラ、力覚センサのプログラム作成の見込み工数

機械組立・配管
①機械組立の見込み工数
②エアー配管作業の見込み工数
③電気配線の見込み工数

電気配線、制御盤組立
①制御盤組立、配線作業の見込み工数
②各装置の機内配線の見込み工数
③周辺ケーブル作成、繋ぎ込みの見込み工数

社内調整、デバッグ
①組み上がった各機器の確認見込み工数
②I/Oチェックの見込み工数
③メカ調整の見込み工数
④動作試験の見込み工数
⑤客先立会と立会後の動作試験の見込み工数

出荷準備
①解体作業の見込み工数
②清掃・梱包作業の見込み工数
③積み込み作業の見込み工数

現地据付
①荷降ろし作業の見込み工数
②搬入、横引き作業の見込み工数
③据付、配線作業の見込み工数

現地立上調整
①I/Oチェックの見込み工数
②メカ調整の見込み工数
③動作試験の見込み工数
④検収運転の見込み工数
⑤操作説明の見込み工数
⑥生産立会の見込み工数

完成図書
①保守資料作成の見込み工数
②操作説明書作成の見込み工数
③提出図面準備の見込み工数

部材、購入品手配
①資材、調達による手配業務の見込み工数

その他
①営業マンの見込み工数
②設計でリスク性の高い項目の予備工数
③事前検証の見込み工数

外注費の見込み原価

ロボット
①用途に適したメーカと型式の費用
②必要なオプション(カメラ、力覚センサ、通信機器、機能オプションなど)の費用

各機構
①制作する各機構ごとの機器構成に応じた加工品、購入品の費用(センサも含む)

制御盤、操作盤、中継盤
①PLC、その他購入品の費用
②制御盤、操作盤の費用
③ケーブル費用
④必要な電材の費用

輸送
①必要な車輌の大きさ、台数の費用

現地据え付け
①場所、日程に応じた交通費、宿泊費の費用
②重機必要時のレンタル費用
③床養生が必要な場合の養生費用
④荷降ろし、横引きが自社で対応できない場合はその費用

現地立上調整
①場所、日程に応じた交通費、宿泊費の費用

その他
①不足の事態に備えてリスク分の費用
②事前検証で必要な加工品、購入品の費用(借用品除く)
③打ち合わせで発生する見込みの交通費、宿泊費

技術費のレートについて

技術費の1時間あたりのレートについては各ロボットシステムインテグレータごとで異るが、基本的な考え方としては労務費+経費(家賃等の原価になる経費)を入れたレートで試算することが一般的です。

仕様書/契約書、工程表について

構想、見積りを提出し、ほぼ合意を顧客から取りつけた後に導入する装置の仕様書を提出する必要があります。
ここでは仕様書という言い方をしていますが、顧客によっては見積り条件書であったり、契約書という名称で呼んでいる場合もあります。

呼び名はさておき、大事なことは「顧客はやって当たり前のこと」が我々システムインテグレータでは当たり前でないことも多々存在します。この仕様書に装置の内容や作業範囲などを記載してお互いの同意を取ることが目的です。

事前検証の大切さと手法

構想、見積り、仕様書に関しほぼ顧客から承認を得たが、装置能力や構想段階でのハンドで本当にうまくいくかなど、まだ心配ごとが多い場合は、事前検証を行うべきです。

心配ごと、つまりリスクを含んだまま受注し制作途中で「うまく装置が動かない」、「要求どおりの能力が出ない」といった問題が発生してしまうと納期遅延や想定の原価をオーバし採算性に大きく影響がでます。顧客もリスクを抱えたまま依頼することは避けたいと考えているはずであるので、有償/無償は顧客との交渉となりますが、事前検証は実施するべきです。

また、ロボットメーカにはロボットの貸し出しを実施しているメーカもあるので、相談をするべきです。ここでは、事前検証で行う作業について説明します。

ロボットシミュレーション
①タクト予想を事前に確認するためのシミュレーションを実施
②シミュレーション用にロボットプログラムを作成
③作成したロボットプログラムを使用してロボットシミュレータでタクトを確認

エンドエフェクタの試作
①検証用にエンドエフェクタ(ロボットハンド)を試作する
②ツメは3Dプリンタによる試作品も活用可能
③ワーク条件(種類)によって部品交換も検討

検証用治具の制作
①検証用にワーク治具を試作する
②ツメは3Dプリンタによる試作品も活用可能
③ワーク条件(種類)によって部品交換も検討

検証用ロボットの準備
①ロボットの設置と製作したエンドエフェクタを取り付け検証用ロボットの準備
②製作した治具を設置

実機検証
①作成したエンドエフェクタ、治具を使用して正常に動作できること、タクトを確認
②予定した検証条件を確認しながらデータを記録

導入後はロボット装置が営業マン

当然であるが装置導入後、満足する仕様で安定稼働ができている装置を導入すれば、リピート商談もありますし、設備投資計画の際は、真っ先に声がけをいただけます!

受注前は、顧客と接する営業の対応が非常に大事ですし、当然ではありますが導入後も装置の状態を確認して、問題点などないかの確認も重要となります。
導入した装置はロボットシステムインテグレータの営業マンとして活躍するので、顧客の満足する装置を必ず導入する必要があります。

ロボットのティーチング作業3日間だけお願したい。の落とし穴

よく、こんな商談が舞い込んできます。

「現在、新規で制作中の装置で○○のロボットメーカのティーチング作業を3日間お願いしたいができませんか」と。

リピート機やロボットのみの乗せ換え後のティーチング作業であれば、過去に実績もあり心配はいらないと思いますが、新規の場合、どこで制作したのかわからないロボットハンドのメカ機構の強度や再現性、PLCとの制御連携、要求タクトなどリスクが必ず付いて回ります。

また新規装置の場合は、ティーチング作業が予定日より遅れてしまい、他の予定とバッティングしたり、聞いている内容よりかなりボリュームもあるティーチング作業の場合もありますので、しっかり詳細仕様をお聞きしてから引き受けるという手順をとりましょう。

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