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医療・医薬分野で活躍する産業用ロボットたち

2020.04.28

少子高齢化社会により、介護・医療の現場では将来的に高いニーズが発生することが予想されています。しかし、現在は人手が不足しているだけでなく、身体的な負担が大きいことから退職を余儀なくされる介護職員も後を絶ちません。

ロボットによって介護の業務をすべて代替させるのではなく、ロボット介護機器の活用によって「人の手により提供される」という基本概念を維持しながら、業務の効率化や省人力化を目指す動きが進められています。

産業用ロボットは医療に活用できるのか

本来「産業用ロボット」は、主に製造業における工場での組立・加工・梱包作業などを自動化する目的で利用されるロボットです。しかし、医療業界においても産業用ロボットは活用されています。ここでの「活用」は、以下の2通りに考え方が分かれます。

医薬品や医療機器の製造に産業用ロボットを活用する

産業用ロボットが主に製造に用いられるように、医薬品や医療機器の製造プロセスでロボットを使用することで、製造業と同じように生産効率を上げる目的で活用する、という考え方です。

産業用ロボットの技術を応用した医療ロボットを活用する

産業用ロボットをその定義のまま活用するのではなく、技術を応用する形で手術支援やリハビリ支援などの医療関連ロボットを活用する、という考え方です。この場合は「産業用ロボット」というよりも、狭義では「サービスロボット」の分野として扱われます。

医薬品創薬・生産&薬剤調整ロボット

著名なロボットメーカーの「川崎重工」や「デンソーウェーブ」を筆頭に、医薬品創薬・生産&薬剤調整を担う産業用ロボットを製品化して活用する事例はすでに多く存在します。導入されたロボットは、バイアル(注射剤を入れる容器)充填からラベル貼りまでの一部作業を高速自動化しており、労働環境改善やヒューマンエラー・雑菌混入のリスク低減などの恩恵を与えています。

製薬分野で活用される産業用ロボットは、滅菌や洗浄のための過酸化水素ガス(VHP)に対する耐腐食性やサニタリー(衛生)性を備えており、一般的な産業用ロボットよりも業務性質に合わせた特化型と言えます。ほかにも、ロボット自身を含めてクリーンルーム内を洗浄するための可動軸を6軸から7軸へ増やす工夫(川崎重工)や、バクテリアの発生を防ぐためにアルミ表面を滑らかに磨き上げる特殊な加工(デンソー)なども特徴として見られます。

参考: 「医療・医薬業界向けロボット 」川崎重工の産業用ロボット
参考: 「医療・医薬業界向けロボット 」DENSO WAVE

医療現場の最前線で活躍する手術支援ロボット

介護用ロボットやリハビリ用歩行支援ロボットなど医療の現場でロボットを活用するという発想はすでに世界に浸透しています。この発想は医療現場の最前線とされる手術においても例外ではありません。

現在手術用ロボットとして世界的に実用化されているのは、米インテュイティヴ・サージカル社が開発した腹腔鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」です。

神戸新聞NEXT | 医療ニュース | 普及広がるロボット支援手術 次世代型 ...

ダヴィンチは、高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像のもと、回転可動域が大きく精密な動作をするアームを駆使して人の手の動きを再現します。術者は遠隔からモニターを通してアームを操作することで、自分の手で行うように手術が可能です。より高いレベルの手術ができるため、メスを使った従来の開腹手術などから急速にシフトが進んでいます。前立腺がんの手術では6割以上で選択されるようになり、今では主流となっております。

「ダヴィンチ」の特許が2019年に期限切れを迎え始め、20年には、その技術を応用した次世代ロボットの開発競争が激化すると予想されています。

参考:「ダヴィンチ手術」 静岡がんセンター

最後に

産業用ロボ、医療の現場へ 高齢化・人手不足で需要: 日本経済新聞

世界有数の高齢者大国である日本は、医療のあり方自体の転換や医療技術の発展などのアプローチで国の未来を支える努力を続けています。
広く普及するまでにはコストの高さや専門家不足などたくさんの課題や問題がある医療ロボットですが、今後医療分野におけるロボット開発・投入はさらに増えていくでしょう。

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