
ロボットの教示及び検査等の業務はマニピュレータの可動領域内で動力源を切らないで行うこともあり、危険を伴う作業となります。
これらの業務を実施する専任者は労働安全衛生規則で特別教育実施(教示等又は検査等の業務の2コース)が義務づけられています。また、可動範囲内の上記専任者と共同で作業する可動範囲外の作業者も特別教育が必要です。
特別教育は、労働者の安全・衛生のために行うものです。法律では、「労働安全衛生法」の第59条第3項(※1)で定められており、そこには以下のように記されています。
(※1)厚生労働省:職場のあんぜんサイト
▶労働安全衛生法:第59条第3項
この「特別の教育」が特別教育にあたります。文面にある通り、特別教育を実施するのは事業者(経営者)の義務となっており、もしこれを怠ると、労働者だけではなく事業者も罰せられることになります。業務に携わる労働者の安全を守り、労働災害を防止するものであるため、事業者の責任において実施が必要です。
産業用ロボットに関連する項目としては、第36条の第31項で「教示等の業務」(ティーチング)、第32項で「検査等の業務」(メンテナンス)が定義されています。詳しくは後述しますが、ロボットを動かす場合は第31項(教示)、ロボットを点検する場合は第32項(検査)に基づいた特別教育が必要になるわけです。
教示等の作業に関する特別教育第36条第31号
産業用ロボットの可動範囲(記憶装置の情報に基づきマニプレータその他の産業用ロボットの各部の動くことができる最大の範囲をいう。以下同じ。)内において当該産業用ロボットについて行うマニブレータの動作の順序、位置若しくは速度の設定、変更若しくは確認(以下「教示等」という。産業用ロボットの駆動源を遮断して行うものを除く。以下同じ。)又は産業用ロボットの可動範囲内において当該産業用ロボットの可動範囲内において行う当該産業用ロボットについて教示等を行う労働者と共同して当該産業用ロボットの可動範囲外において行う当該教示等に係る機器の操作の業務。
解説
また、この確認作業を行う労働者と連絡をとりながら当該産業用ロボットの可動範囲外において操作盤のスイッチを操作する労働者に対しても誤操作等により確認作業を行っている労働者に危害を及ぼすことを防止するため特別教育を義務付けています。
検査等の作業に関する特別教育 第36条第32号
産業用ロボットの可動範囲内において行う当該産業用ロボットの検査、修理若しくは調整(教示等に該当するものを除く。)若しくはこれらの結果の確認(以下「検査等」という。)(産業用ロボットの運転中に行うものに限る。以下同じ。)又は産業用ロボットの可動範囲において当該産業用ロボットの検査等を行う労働者と共同して、当該産業用ロボットの可動範囲外において行う当該検査に係る機器の操作の業務。
解説
産業用ロボットの検査等は 150 条の 5 に規定されているように、その運転を停止して行うのが原則ですが、本号は、産業用ロボットの運転中にその可動範囲内において検査等の作業を行う必要がある場合には、産業用ロボットの不意の作動、誤操作等による労働災害の発生を防止するため、当該作業を行う労働者が産業用ロボットについての適正な知識と技能を有することが必要であることから、これらの者に対して特別教育を行わなければならないとしています。
産業用ロボットの掃除および給油の業務については、産業用ロボットに限らず、機械一般に共通することであり、これらの業務は、その内容からみて、雇い入れ時または作業内容変更時に義務づけられた安全衛生教育(規則第35条)で安全を確保するための教育上の要件は十分周知されていると考えられるので、掃除と給油の作業について、特別教育は必要としないとしています。
産業用ロボットの特別教育で実施すべき内容については、「安全衛生特別教育規程」の第18条(教示)と第19条(検査)で科目と時間が定められています。
1.産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育
労働省告示 第49号 安全衛生特別教育規定 第18条
2.産業用ロボットの検査等の業務に係る特別教育
労働省告示 第49号 安全衛生特別教育規定 第19条
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